AIRBNB、CM打って抵抗する

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出社前の朝のゴタゴタ中7時ごろ。お弁当作ってたらテレビ画面にAIRBNBのコマーシャルが現れた。

重苦しさが漂う音楽に白黒画像。苦悩の表情を見せる南米系か黒人系らしき老夫婦が映されます。この夫婦のナレーションが重ねられつつ。

訴えてることは、かいつまんでこんな感じ。

「私たち夫婦は長年住んでいるニューヨークでギリギリの生活を送ってるんです。AIRBNBホストでの収入に家計はすごく助けられてる状態。これがないと、長年住み続けた愛着あるコミュニティを去らなければなりません。ニューヨーク州が通した民泊規制法案でミドルクラスの庶民の暮らしが脅かされてます。」

ロゴが大きく付けてあるわけでもなく、AIRBNBがスポンサーだってことがすぐには分からないような作り。この時間帯はNY市長の政策批判やらのローカル政治団体スポンサーのCMがよく流れるんで、その類のプロパガンダCMかなぁーという印象で、AIRBNBとは意外です。

あぁ、、、AIRBNBの存在はすっかり様変わりしちゃったな、、、。

3,4年前になるかな、AIRBNBがマンハッタンで派手にキャンペーンを張りはじめた時期があります。駅構内のコンコースや車内の広告に登場したホストは、今の広告に出てる老夫婦とは別世界の幸福そうな若いホストさんでした。

そのCM(AIRBNB純正の)ではブルックリンのホストがガーデンパーティ開いて手料理をふるまってゲストさんと和やかな時間を過ごしている映像で、「世界の旅行者と友達になれる。シェアリングソサエティって素晴らしい!」と強調しているものでした。

今、この能天気なCM流したら総スカン食らうこと間違いなし。ソーシャル・シェアリングって響き自体、すでに違和感ありです。もはやAIRBNBは『空いてる部屋を世界からの観光客に貸し出して交流できる素晴らしいソーシャル・プラットフォームを提供している企業』と謳っても世間は共感しません。『アパートのテナントが大家所有のインフラただ乗りして賃貸ビジネスでお金を稼げるビジネス・プラットフォームを提供して手数料稼いでる』企業だと思われても仕方ない。ニューヨーク市の半数のホストが違法賃貸でビジネスやってるわけだから。

たしかにホストしてて外国人ツーリストを迎えるにあたって面白い経験が出来ないことはない。(素晴らしいかどうかは置いといて)
その経験だけ欲しくて民泊したいならホストファミリーのボランティアすればいいだし。

先月、ニューヨークでアンチ民泊法案が可決されそうな勢いのとき、AIRBNBは1ミリオンドルを政治的広報のために投入するって発表したんでした。たぶん、私が見たCMはその活動の一環でしょう。違法民泊ホストをしていない、普通に暮らしててギリギリの生活に追われているニューヨークのミドルクラス住民から、果たして同情を得られるんだろうか?