[AIRBNB] 高齢者女性がホストに進出しつつあるアメリカ
戦前、戦後の混乱期が舞台の映画を見てると、東京で主人公が「貸家」を探すシーン、よく出てきます。たいてい大家さんは未亡人だったり、老夫婦だったり。明治の小説「坊ちゃん」も、四国で家を間借りして過ごし家主のお婆さんの出す食事に閉口するくだりがありましたっけ。なんというか、持つ者と持たざる者との格差を感じたものでした。
そんなことを思い出すニュースです。
http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-03-31/why-everybody-loves-seniors-on-airbnb
アメリカの13%のホストは高齢者で急増している年齢層だそうです。特にメイン州、バーモント州、ニューハンプシャー州、デラウェア州、そしてニューメキシコ州が高齢者ホスト率トップ5.
高齢者、いわゆるシニア・ホストさんは以下のようなかんじ。
- 60歳以上の女性ホストは五つ星レビュー獲得率が高い。ゲストの62%が最高得点をつける
- 宿泊代が高齢男性ホストよりも低く設定していてお値打ち
- 自宅を丸ごと貸すより、個室を貸しだしている。3分の2が独居生活者。
- 45%の高齢者ホストは金銭的事情でホスト業を始めていて、平均6000ドルの副収入を得ている。
(ブルームバーグの記事によると、、、)
ロサンゼルスのバネッサさん。62歳。彼女が子供の頃に居室に改造してあったガレージに住み、母屋をゲストに貸し出して年30000ドルの収入を得たそうです。丁寧な応対にアップルパイを焼いたりというサービスで5つ星レビューを多数獲得。
ニューヨークの65歳のエルさん。もと教授でスタテン・アイランドの自宅を夫婦で貸し出していて、到着したゲストさんに45分のニューヨークシティ観光レクチャーをサービス。去年は72人のゲストを得て2万ドルの宿泊収入を得たそうです。これはなかなか凄いことです。だって、スタテン・アイランドってマンハッタンに行くにはフェリーか車で遠回りするしかない普通の住宅地。(なにしろ、ニューヨーク在住十年以上の私、行ったことないんで。)ツーリストは寄り付かない島ですから。そんな場所で予約が取れるとは意外だな。
特に大成功を収めている例はコレ。https://www.airbnb.com/rooms/8357
マッシュルーム・キャビンを持つキティさん。主婦65歳。5年前、AIRBNBがスタートしたばかりのときに、自分の所有地に立ててもらった可愛い別荘、誰も住まなくなったので改修して貸し出してから人気爆発!週末レートは340ドルでも予約一杯。
たぶん、これらの事例はホスト本人が所有している物件と見受けます。問題になってるような、いわゆる賃貸アパートの違法貸し出し民泊とは全く無縁の”ホワイト”ホストの民泊話みたいで、読んでて安心な記事ですねぇ。しかし、先が思いやられる事実ですよね。高齢者が立地の有利な不動産を手放さなくなって、不動産売買市場の動きが鈍くなってしまいませんかね?
そういえば、大都市ニューヨークでは珍しくないルームシェア、知りあいの(当時)20代の女性ふたり、ルームシェアしていたお相手はシングル中高年のアメリカ人女性だった。まずまちがいなく大昔に安く購入していたりするニューヨーカー女性です。何十年も住んでるから安い家賃で住めてるはずのところを更に個室を貸すことで生活の足しにしていた様子。けっこうボッタクリ家賃を狭い個室に払ってたなぁ。二人とも窮屈な思いをしたのか、一年もたずに退去してました。