マンハッタンあれこれ:AIRBNBのこと 

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最近、日本でもAIRBNBの記事が出始めてますね。東京オリンピックでの宿泊需要をまかなうなら必要だー!とか, 過疎地や経済特区の空き部屋の有効利用に使えるとか、、、。

これ、相当ムリあります。ニューヨークで3年ほどAIRBNBのホスト副業した経験から断言します。

ニューヨークのAIRBNBホストは、ほとんど違法

まずはニューヨークのAIRBNB事情について、サラリと説明しますと、ニューヨーク市内ではAIRBNBやってる人(ホストという)への風当たりは冷たいです。

どうして?

そのわけ一: ホストのほとんどが持ち家を貸してるのでなく、自分が借りてるアパートを大家に内緒で貸してるから。1014年春ごろの時点で、リスティングが3分の4が違法な状態で貸してるホストのもの(私のリスティングも、、)。賃貸アパート住まいのテナントが又貸しして大儲けしてるケースが多いんです。

そのわけ二: AIRBNB創設者の意義どおりに、「部屋が空くから、しばらく貸してもいいかな?」とか、「一ヶ月バケーション行く間にアパート貸して家賃代浮かそうかなー、、」みたいな気持ちでシェアしてるユーザーは一握りだから。ホテル並みに通年貸し出してるリスティングが増えているんです。

それで問題が。アパートの空室率に影響でてるんです。なにしろ本家本元のアパートメントビルディングのオーナーまでホストとして短期貸しし始めてるわけなので。

で、住む家貸しちゃって、どこに住むのか?ホストが契約しているアパートはゲスト用に通年貸し出し状態にして、ホストは別にもう一ヶ所住む場所を確保して、ホテル業商売続ける。彼氏、彼女の家に転がり込む、、、とか。これたど、アパートの空室率が減り、本当に住むアパートを探しているニューヨーカーのアパート探しが更に困難になってしまう。私がAIRBNBのホストのパーティで会った若い男性ホストは、自分のアパートにゲストがステイ中は、AIRBNBで近所に安い個室にゲストとして仮住まいしてるって言ってました。(さすがにそれを聞いた参加者みんな唖然、、、)ちなみに、私の場合は市内に安いルームシェアで部屋を通年で借りてて、2箇所を月に3~4回往復して住んでました。

ふつうなら、値上がりする家賃の支払いに苦しくなったら、更新はあきらめて、もっと安いところを探して引っ越すもんです。なのに、AIRBNBのおかげで空いてる個室を貸し出して住み続けるってことが出来てしまう。「ニューヨークで生活が大変なんだから、しかたないでしょ!」って開き直るホスト、多いです。

アパートの大家にしてみたら、冗談じゃありませんね。まず、賃貸契約では短期の又貸しは原則禁止ですし。

こんなニュースもあります。あるとき、ニューヨーク効外の別荘を持つオーナーがAIRBNBのリスティングに自分の別荘が貸し出されていることを知ってビックリ。そこを賃貸していた若い女性がAIRBNBでホストとして結婚式とかに貸し出してたことを知って激怒。なんと、AIRBNBはそのホストをモデルとしてポスターやビデオ広告に使っていたという、、、。脇が甘いことです。

http://nymag.com/daily/intelligencer/2014/10/airbnb-poster-child-shell-evicted-for-airbnbing.html?mid=twitter_dailyintelligencer

近所迷惑なのです

治安の問題もアリ。
同じフロアや隣の住民にしてみれば、数日、一週間おきにスーツケースをゴロゴロとひきずる見知らぬカップルやグループが行き来しているのは気味が悪い。ロビーで到着したゲストとドアマンとの鍵の受け渡しのトラブルの話は絶えません。じっさい、友人の住むミッドタウン東のコンドミニアムの住民組合はAIRBNBでのゲスト宿泊を禁止にしました。

AIRBNBで借りた部屋で、ゲストが売春ビジネスをしてたこともニュースになりました。ゲストがパーティ用に借りて部屋をめちゃくちゃに荒らしたこともニュースになりましたしね。これは、ユーザーが宿泊申込みするときにプロフィールのページみて信用度が計れるので防ぎようはあるんですが。LinkedInやフェイスブックに何人友達いるか、過去に宿泊したホストからの評価が出てますから。

もし、こんなAIRBNBビジネスが日本で広まったらどうなるか?

過疎の地域の空き家を持ち主がまるまる貸す場合ならアリかも。案外、不動産業者を通すよりシンプルに貸せるかもですね。ただ、予約代行、清掃や鍵の受け渡し、英語で苦情処理もやってくれる管理人代行ビジネスが流行るかもです。

需要の多そうな都市部や観光地のマンションの場合、組合がいわゆるサブレット(短期の又貸し)を容認してるかどうかにもよりますが。アジア系外国人に買い占められているようなマンションだったら、どうなるかな?自国民観光客や不法滞在人を相手にタコ部屋賃貸商法なんてやりださないでしょうか??

で、連鎖反応として、零細旅館は確実に廃業、つぶれます。実際、アメリカのノースカロライナでは個人経営のB&Bが近隣のAIRBNBリスティングが増えて31年の看板を下ろしたニュースが。

文化と英語力は?

何よりの問題は言葉と文化の違い。日本人ホストの英語力です。日本に住み着いてる外国人が、英語力を武器にして自分の住んでるアパートをこっそり貸したりしそう。でも、外国人は本人名義でアパート借りるのまだまだ簡単じゃないでしょうけど。

AIRBNBが一番人気な国はフランス。とにかくヨーロッパで大人気です。AIRBNBつかうような彼らは英語がかなりできますから。日本人、とうかアジア人がアメリカに遊びに来るのにAIRBNBを使うって非常に珍しい。少なくとも、私は日本人からリクエスト受けたことありません。香港からモト留学生くらいですよ。特に日本人の場合は言葉の問題もあるけど、ある種の潔癖性も手伝ってか狭い狭い安ホテルのほうを選ぶようです。私のアパートにゲスト宿泊した人の半数はフランス人。続いてデンマーク、イタリア、ドイツ、スイス、スウェーデン、、ヨーロッパ人ばかり。たまにカナダ、南米。最低7日間~10日間くらいお泊りなさって、次の目的地に移動です。夏と年末は3週間くらい借りてくれる人が必ずいるのでおお助かりでした。ほとんどのひとが英語ペラペラ、たまにたどたどしいブロークン英語だけな人もいたけど。

覚悟が必要。

私物の管理はしっかりしないと。すべて写真に撮ってリスト化しておく。大切なものは鍵をかけて隠しておくくらいのことをしないと。 よほどの日本通でない限り、漆のお盆の価値なんて知ったところじゃないんでしょう、タバコの火を消した痕をみつけたときはショックだった。子供に飾り棚に置いてあったコレクションの置物が壊されてた。奥に隠しておいた乾物が食べられてた、、、などなど。悪気はなかったと思うので不問にしてクレームしなかったけど、そういう些細なトラブルは多かった。大切にしてたイッセイ・ミヤケのカーディガンがなくなっちゃったんだけど、自分がどこかに置き忘れたと思い込むようにしてる。 それでも、「もしかしたらゲストが、、、?」という疑念は今でもとれないでいます。そんな程度じゃAIRBNBは弁償してくれないし。

ガラス張りの収入と納税

最後に宿泊料という収入の件。ニューヨークのAIRBNBがバッシングに対して強く抗弁する点のひとつが、AIRBNBホストがもたらす税収の高さ。しかし、ホテルはもっと税率高いんで、AIRBNBユーザーにはホテル税を課すべきだ!と論破されてますが、、。
そう、納税しなきゃいけません。AIRBNBでホストする場合、社会保障ナンバー(SSN)と銀行口座が必要です。SSNはいわゆる国民背番号。AIRBNBは各ホストに宿泊代として送金した金額をホストのSSNと共に税務署に申告してます。私はAIRBNB始めた一年目はAIRBNBも出来たばかりでルールも緩く、帰省中の2回しか貸さなかったので小額だったので無視しちゃいましたが、、。今は確定申告時期に毎月ごとの収入が詳しく載った納税書類が作られてきて1月下旬ころにアカウントページからダウンロードできるようになってます。

つまり、ホストは宿泊代を確定申告する必要あり。アメリカ国民は収入あれば100%個人で確定申告をしますから問題なし。国民ナンバー制が未だない日本の場合、どうでしょうか?

シェアリングエコノミーと素人商売

シェアリングエコノミー、私がAIRBNBホストの集会に参加してAIRBNB経営陣の話を聞く限り、彼らは本気でシェアリングソサエティの可能性と正当性を信じてるんだなぁ、、、と感じました。それはそれで素晴らしいんですが、幾多の規制をクリアして経営してるホテル業界、そりゃあ容認できませんよね。私の場合、大人になってホテルごっこをマジでやって遊んだ、、って感覚の3年間でした。大家さんに申し訳ないという罪悪感を背負ってた3年間でもあり、見つからないかハラハラして過ごしてた。大家さんのするゴミ箱の整理、水道、暖房などのメンテ、共用エリアの清掃などのプロのアパート経営の苦労の上にタダ乗りして、私は子供じみたホテルごっこをしてたようなもの。

こんなオイシイ話はいつか破綻するんだと思います。私の場合は、大家にばれてジ・エンド。怒られただけで追い出されたり訴えられなかったのが幸い。サインしたばっかりのアパートの契約更新をキャンセルして翌月引き払いました。